今日の授業では「IPアドレス」と「ドメイン」について学びます。ネットワークに接続されたデバイスに与えられる固有の番号、それがIPアドレス。でも、この数字だけでは覚えるのは大変。そこで登場するのがドメイン名。そして、これらを結びつけるのがDNS。詳しく見ていきましょう。
黒板
授業
IPアドレスって何?
さてなおや君、インターネットを使うときに「IPアドレス」という言葉、聞いたことあるかな?
うーん、なんとなく聞いたことはあるけど、正確にはわからないな。
IPアドレスはネットワークに接続されたコンピュータやスマホなどの機器に与えられる「住所」のようなものだよ。
そうか!住所は英語でアドレスだから、そのままだね。
IPアドレスは、32ビットの2進数で表されたものを、8ビットずつ4つに区切り、それぞれ10進法で表現するんだ。
2進法と16進法が相性が良かったとはずなんだけど、なぜ16進法で表さないの?
いい質問だね。10進法のドット区切りは IPアドレスの標準が確立された当初からの慣習なんだけれど、人が理解し易いとか、入力し易いという理由が大きいね。
ふーん、16進で表現するより長くなるけど、わかりやすいね。
IPv4の枯渇問題とIPv6
最近ではインターネットに接続される機器が増えて、冷蔵庫やテレビ、IoTのセンサーまで、IPアドレスが割り当てられているんだ。
先生、それではいくら数があっても足りないね
その通り。これまで使われてきたバージョン4(IPv4)という32ビットのアドレスでは表現できるアドレス数は2の32乗つまり約43億程度なんだ。世界中の人がスマホを持って、新しいデバイスがどんどん増えてきたから、枯渇する問題が発生してたんだ。
じゃあ新しいルールが必要だね
その通り。そこで、新しいIPv6という128ビットのアドレスのルールが生まれたんだ。
128ビットだと2の128乗でしょ。電卓で計算すると・・・。2.4028E38なんじゃこりゃ?
340兆の1兆倍の1兆倍なので。ほぼ無限だね
これで、IPv6になれば、アドレス枯渇問題は解決だね
そうだね。すでに多くのISP(インターネットサービスプロバイダ)は、IPv4アドレスの枯渇に対処するためにIPv6を導入しているよ。しかし、全てのデバイスやウェブサイトがIPv6に対応しているわけではないため、現在もIPv4とIPv6の双方が共存しているんだ。
でも、世界中の人たちがパソコンやスマートフォンでインターネットに繋げることができているけれどどこれはどういう事
動的IPアドレスとプライベートアドレス
いい質問だね。実は、プロバイダがすべてのユーザーにIPアドレスを一つずつ割り当てるわけではないんだ。実際には、多くのホームユーザーは「動的IPアドレス」を割り当てられることが多いよ。
動的IPアドレスって何ですか?
動的IPアドレスとは、ユーザーがインターネットに接続するたびに変わるIPアドレスのことを指すんだ。DHCPというプロトコルを用いて、プロバイダのサーバから一時的にIPアドレスを割り当てられる。この方式だと、同時にオンラインになるユーザーの数だけグローバルIPアドレスが必要になるわけだから、効率的にIPアドレスを使用することができるんだ。
なるほど。でもうちの中のWi-fiルーターには、複数台のパソコンやスマホがつかがれていますけど、これら全てに動的IPアドレスが割り当てられているんですか?
いい質問だね。実はWI-fiルーターにはNATという技術が入っているんだ。NATを使用すると、多数のデバイスが1つのIPアドレスを共有してインターネットにアクセスすることができるんだ。
色々と工夫して、枯渇をしのいできていたんですね。
その通り。インターネットに直接つながるアドレスをグローバスアドレスと呼び、ここで家庭内のデバイス向けに割り当てられるアドレスをプライベートIPアドレスと言うんだ。
グローバルアドレスと、プライベートアドレスですね。覚えておきます。
ドメイン名って何?
では、次に「ドメイン」についてだ。これは、IPアドレスを人が覚えやすい文字列にしたものだよ。
ドメイン名?初めて聞く名前だな。
例えば、アマゾンの日本のドメイン名はwww.amazon.co.jpだ。いつもブラウザに入力するアドレスがドメイン名だと思って良いよ、ところで、それぞれの部分が何を意味するかわかるかな?
うーん、最後のjpは日本のことだよね。amazonは会社の名前。あとは…分からないな。wwwってよく見るけれど、これは何?
それぞれ、wwwはサーバ名のことだよ。World Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ」の略で、インターネットを提供するサーバーのことなんだ。
なるほどワールドワイドウェブか?でもなんで、わざわざwwwって入力する必要あるの?
インターネットでは、www以外のサービスもあって、mailとかftpというものも使われているよ。でも、ネットのサイトを見るときは主にwwwだから、入力されていなくても自動的に移動するように設定されていたりするんだ。
なるほど。それでwwwって入れなくてもつながるんですね。
次に、coは組織の種類の一つで、民間企業を示しているんだ。他には、goが政府機関、acが大学や学校法人、neがネットワークサービス事業者など色々あるよ。
あれ?comという表記は出てこなかったけれど、どうして?
ちょっとややこしいけれども、「com」はトップレベルドメインと言って、国を特定していない企業のこと。
www.amazon.comと入れるとアメリカのサイトに飛ぶけど、アメリカの国名は入っていないのはどうして?
アメリカのドメインは主に国名を省略することが可能なんだ。だから、アメリカ企業はcomを使うことが多いんだ。
なるほどね。インターネットはアメリカから始まったから、省略可能ってわけなんだね。
DNSって何だ?
最後に、ドメイン名とIPアドレスを変換するシステムがDNSだよ。これがあるおかげで、覚えやすいドメイン名でサイトにアクセスできるんだ。
DNS?
DNSは「Domain Name System」の略で、インターネットの電話帳のようなものだと思ってもらえればいい。人々が覚えやすいドメイン名を、コンピュータが理解できるIPアドレスに変換する役割を果たしているんだ。
そういう変換がなければ、僕たちがブラウザに直接IPアドレスを打ち込む形になるの?
その通り!今私達がブラウザにURLを入力して目的のサーバに繋がるのは、裏側でDNSが働いてIPアドレスを検索しているおかげなんだ。
ふーん。便利なのはわかったけれど、DNSはどこに存在してるの?
良い質問だね。DNSは一つの場所に存在しているわけではない。世界中に分散された多数のサーバによって構成されている。
分散してるのは何か理由があるの?
1台だと負荷が集中してしまうし、故障したときに困るよね。また負荷分散の観点や、故障した場合の代わりとして、またなるべく近い場所のサーバのほうがレスポンスが早いというメリットもある。
なるほど、それでブラウザにアドレスを打ち込むと、あっという間に目的のサイトが開くわけだ。
そうそう!DNSサーバが背後でがんばってるんだ。これで「IPアドレスとドメイン」についての基本はおしまい。分かったかな?
ありがとうございます。インターネットに繋がる仕組みがよくわかりました。
まとめ
名言解説
村井純氏は、日本におけるインターネット黎明期からインターネットの技術基盤作り、運用、啓蒙活動等に関わり続け、「日本のインターネットの父」と呼ばれることもあります。
2008年、インターネットの成長とともにIPv4アドレスの枯渇が現実の問題として浮上してきました。この問題に対処するため、「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」が設立され、その発足式で村井純氏は「むしろ武者震い」という名言を残しました。彼のこの発言は、困難な問題に直面しても、それを乗り越えるチャンスと捉え、前向きに取り組む姿勢を示しています。
2023年現在、IPv6は約40%の普及率を誇ります。この普及には、村井氏をはじめとした日本の技術者たちの尽力が大きく寄与しています。
村井純氏の言葉は、困難な状況に立ち向かい、それをチャンスと捉える姿勢を示しています。この名言を胸に、新しい技術や知識を学び、日本が世界に貢献する仕事をしてください。挑戦の中には必ずチャンスが隠されています。
問題
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編集者ひとこと
日本科学未来館にある「インターネット物理モデル」という大きな展示物をご存知でしょうか? https://www.miraikan.jst.go.jp/exhibitions/future/internet/
インターネットのパケット技術に込められた思想を、ボールとレールという実にローテクな技術で再現しています。
この博物館に行く度に、美しいなぁと腕組みをして唸って眺めています。子どもたちは、何だこのおじさんと見ているかもしれませんが・・。
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