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サンプル問題1-3 デジタルデータの変換

5.大学入学サンプル問題

問題

問題文

出典:独立行政法人大学入試センター 公開問題「平成30 年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目 情報サンプル問題」
https://www.mext.go.jp/content/20211014-mxt_daigakuc02-000018441_9.pdf

次の文章の空欄(ク)(コ)に入れるのに最も適当なものを、それぞれの解答群のうちから一つずつ選べ。
 次の図1は、モノクロの画像を16画素モノクロ8階調のデジタルデータに変換する手順を図にしたものである。このとき、手順2では(ク)、このことを(ケ)化という。手順1から3のような方法でデジタル化された画像データは、(コ)などのメリットがある。

図1 画像をデジタルデータに変換する手順
(ク)の解答群
(0)区画の濃淡を一定の規則に従って整数値に置き換えており
(1)画像を等間隔の格子状の区画に分割しており
(2)整数値を二進法で表現しており
(3)しきい値を基準に白と黒の2階調に変換しており
(ケ)の解答群
(0)符号
(1)量子
(2)標本
(3)二値
(コ)の解答群
(0)コピーを繰り返したり、伝送したりしても画質が劣化しない
(1)ディスプレイ上で拡大してもギザギザが現れない
(2)データを圧縮した際、圧縮方式に関係なく完全に元の画像に戻すことができる
(3)著作権を気にすることなくコピーして多くの人に配布することができ

解答

  • (ク)の解答
    (0)区画の濃淡を一定の規則に従って整数値に置き換えており
  • (ケ)の解答
    (1)量子
  • (コ)の解答
    (0)コピーを繰り返したり、伝送したりしても画質が劣化しない

解説

本日は、アナログ信号をデジタル信号に変換する過程について学びます。特に音や画像のデジタル化について、標本化(サンプリング)、量子化、そして符号化という3つの手順を通じて、どのようにデジタルデータが作成されるのかを理解していきます。

黒板

デジタルデータの変換

さて、なおや君。コンピュータは何で音声や画像を扱えると思う?

何でと言われても・・。唐突すぎて、意味が分かりません。

ごめんごめん。コンピュータは自然界のアナログ信号をそのまま扱えないんだ。だから、音声や画像をデジタルに変換してから処理しているんだよ。

デジタルと、アナログって何が、どう違うんですか?

簡単に言うと、アナログ連続したものデジタル不連続なものなんだ。アナログは滑らかな変化、デジタルは「ポンポン」って段階的に変わる感じかな。

ああ、整数と小数みたいな感じですか?1と2の間には無限に小数が入るけど、整数は飛び飛びだもんね。

そんなイメージだね。コンピュータやスマホの中では、音とか画像というアナログのデータを、デジタルに変換して扱っているんだよ。

デジタル化のメリット

ところで、なぜわざわざデジタルにするんですか?どんなメリットがあるか教えてください。

いい質問だね。デジタルの3つの特性について説明しよう。

3つですね!「早い」、「安い」、「うまい」みたいにお願いします。

了解!まず一つ目は「スピードが早い」ってことだね。デジタル化された情報は、インターネットやネットワークを通じて、瞬時に送れるんだ。たとえば、メールと手紙を比べたらどうかな?

ああ、確かに!手紙だと数日かかるけど、メールならすぐに届きますよね。デジタルの方が圧倒的に早いです!

二つ目は、デジタルは「複製しても劣化しない」んだ。例えば、紙の資料をコピー機で何度もコピーしたら、だんだんと質が悪くなってくるよね。でも、デジタルなら何回コピーしても全く同じ品質のデータが手に入るんだ。

なるほど!確かに、パソコンのファイルとかって何回もコピーしても全然変わりませんもんね。紙とは違いますね!

そうだね。しかも、デジタルだとコピーするのにコストも時間もほとんどかからない。モノを作る場合は原材料や時間がかかるけど、デジタルはその手間がないんだよ。

たしかに、形のあるモノは簡単にコピーできないですもんね。

三つ目の特性は「組み合わせや変更が容易」ってことだよ。デジタルデータは、例えばプログラムの設定をちょっと変えたり、新しい仕組みを追加したりするのがすごく簡単なんだ。

へえ、それもデジタルならではですね。機械とかだと、一度作ったら変更するのが大変ですもんね。

その通り!例えば、アプリで撮った写真にフィルターをかけたり、SNSに投稿するのもすぐにできるでしょ?デジタルならこうした操作や組み合わせがあっという間にできちゃうんだよ。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

デジタルの「速さ」「劣化しない」「変更の容易さ」という特性を組み合わせると、短期間でビジネスを大きく広げたり、新しい価値を作り出したりできるんだ。LINEを例に考えてみよう。

うーん、LINEでメッセージを送るとすぐに相手に届くので、手紙に比べると早いですね。でもアナログの電話でも同じじゃない?

うん、「速さ」という点ではその通りだね、では「劣化しない」という観点で見るとどうだろう?

LINEで送った写真や動画は、いくら転送したり複製しても劣化しないよね。紙の写真じゃ考えられないことですよね。

それから、LINEってアップデートがよくあるよね?あたらい機能が追加されたり、スタンプが追加されたり。これらもデジタルの「組み合わせや変更が容易」って特性のおかげなんだよ。

ああ、確かに!昔の電気製品はアップデートなんてできなかったからね。これもデジタルだから簡単にできるんですね。

こうしてデジタルの「速さ」「劣化しない」「組み合わせや変更の容易さ」を理解すると、今の時代にどれだけデジタル技術が社会を変えているかがわかるだろう?

うん、デジタルの特性で世の中がどんどん便利になっているんですね

こうしたデジタルの特性を活用して、仕事や生活の仕組みを根本から変えることを「DX」、つまり「デジタルトランスフォーメーション」って言うんだよ。

DXって聞いたことありますね。自分とは関係ないと思っていたけれど、今日の説明を聞いてちょっと身近に感じてきました。

A/D変換とは

なるほど!じゃあ、アナログの音や画像をデジタルに変えるにはどうするんですか?

それがA/D変換だよ。Aはアナログ、Dはデジタルの頭文字を取ったんだ。この変換には、標本化量子化符号化っていう手順があるんだ。まずは標本化から説明しようか。

標本化?なんか難しそうだけど、お願いします!

手順1 標本化(サンプリング)

標本化は、連続しているアナログ信号をどの点で区切ってデジタルデータにするかを決める作業なんだ。これを「サンプリング」とも言うよ。

それって、たくさんサンプリングした方がいいんですか?

そうだね、サンプリングの数が多いほど、元の音や画像に近いデジタルデータができる。でも、その分データ量も増えるんだ。

へえ、じゃあ、どのくらいのサンプリングがベストなんですか?

実は、標本化定理というのがあって、元の信号の最高周波数の2倍以上の周波数でサンプリングすれば、元のアナログ信号に復元できるんだよ。

うーん、さっぱりわからない。そもそも周波数ってなんでしたっけ?

周波数は「1秒間にどれだけ波が繰り返すか」を表すんだよ。単位はHz(ヘルツ)だ。

波の数が大きいほど、周波数が高いってこと?

その通り。シャノンの定理は波の数の倍の間隔で標本化すれば、波の形をしっかり捉えられるといっているんだ。

手順2 量子化

次に「量子化」だね。これは、サンプリングした値を整数にすることを指すんだ。要するに、四捨五入みたいなものだね。

へえ、それだけでいいんですね!じゃあ、なんか難しい計算とかないんですか?

うん、実際は単純な作業だけど、この量子化でデータの精度が変わってくるんだ。整数にすることで、元のアナログ信号とズレることがあるからね。これを「量子化ノイズ」というものなんだ。

へえ、じゃあそのズレが多くなると、音とか画像が汚くなっちゃうってことですか?何とかならないですか?

一つの方法は、量子化の段階で扱うデータの「ビット数」を増やすことなんだ。ビット数が多いほど、表現できる数値が細かくなって、元のアナログ信号に近いデータが作れるんだよ。でもビット数を増やすと、その分データ量も多くなってしまうんだ。

なるほど!でもデジタル化って便利だけど、そういうデメリットもあるんですね。ところで、「量子化」という言葉、イメージしにくいですね。

量子」っていう言葉は、英語で「Quantum(クオンタム)」という言葉から来ているんだ。この言葉は「小さい単位」や「区切られたもの」という意味なんだよ。

へえ!じゃあ、何かを小さく分けるとか、区切るってことなんですね。

そうそう。その通り!デジタル化の「量子化」も、アナログ信号の連続したデータを小さな単位、つまり「区切られた段階」に分けて、整数として表すということなんだ。

なるほど!語源を理解すると覚えられそうな気がしてきました。

手順3 符号化

そして最後が「符号化」だよ。量子化で整数にした値を2進数に変換するんだ。10進数を0と1の2進数にする作業だね。

あ、これも聞いたことある!デジタルの世界では全部が0と1になるってやつですよね?

その通り!この符号化によって、アナログ信号が完全にデジタルデータになるんだ。これでコンピュータでも扱えるようになるんだよ。

すごい!じゃあ、音も画像も、全部デジタルに変えられて、扱えるようになるんですね。

A/D変換の実例

そうだね。例えば、CDの音楽データ44.1kHzでサンプリングしてるんだ。これは、人間が聞こえる範囲である20kHzをカバーするために、その2倍以上の周波数でサンプリングしてるんだよ。

じゃあ、音楽はとても高い周波数でサンプリングされてるってことですね!

そうだね。それに画像の場合は、スマホやデジカメで撮影するときに使われる「CCD」や「CMOS」というイメージセンサーが、光を電気信号に変換しているんだよ。

なるほど!音も光も、全部デジタルに変えてコンピュータで扱えるって、すごい技術ですね!

試験問題の回答

さて、今までの授業内容をもとに、試験問題を解いてみようか。「次の文章の空欄(ク)~(コ)に入れるのに最も適当なものを選べ」という問題だよ。頑張ってみよう!

うーん、やってみます!少し難しそうですけど…でも挑戦してみます!

手順2に関する設問

まず「手順2では(ク)」の部分だね。ここは手順2で何が行われているかを考えてみようか。

手順2の次の図では数値が並んでるので、たぶん濃淡を数字に変えるようなことをしてると思うんですが…。

そうだね、いい感じだよ。じゃあ、選択肢のうちのどれかな?

ああ、わかりました!(0)「区画の濃淡を一定の規則に従って整数値に置き換えており」が正解ですね!

その通り!ではこのことをなんという処理と呼ぶか思えているかな?

えっとなんだっけ?覚えにくい言葉だったけど・・・。

この言葉は「小さい単位」や「区切られたもの」という意味なんだけど。

そうだ「量子化」だ。

正解、(ケ)の答えは「量子」だね。

デジタル化された画像データのメリット

さて、最後の「手順1から3のような方法でデジタル化された画像データは、(コ)」の部分に進もうか。このデジタル化されたデータにはどんなメリットがあるんだろうね?

うーん、メリットはいくつかあったよね。(0)と(2)が悩むな。コピーできるって言っていた記憶があるから「(0)コピーを繰り返したり、伝送したりしても画質が劣化しない」かな?

正解!デジタルデータの一番の強みは、コピーを繰り返しても劣化しないことだよ。

よかった。でも、「(2)データを圧縮した際、圧縮方式に関係なく完全に元の画像に戻すことができる」は何で不正解なの?

圧縮には大きく分けて「可逆圧縮」と「非可逆圧縮」という2種類があるんだ。可逆圧縮は、圧縮しても元のデータを完全に復元できるけど、非可逆圧縮は、データを小さくするために一部の情報を削除しているんだ。

ええっ、データを削除しちゃうんですか?それって元に戻らないんですね?

そうなんだ。例えば、デジカメで使われる、JPEGは非可逆圧縮を使っていて、圧縮すると元のデータには完全には戻せないんだよ。でも、圧縮したデータでも画質をそれほど気にしないなら便利だよね。

まとめ

まとめ
  • アナログとデジタルの違い
    アナログは連続的な信号、デジタルは不連続な信号である。デジタル化により、データの加工や保存が容易になる。
  • A/D変換の手順
    アナログ信号をデジタルに変換するために、標本化、量子化、符号化という3つの手順を踏む。
  • 標本化(サンプリング)
    アナログ信号を一定の間隔で区切り、その値を標本として取り出す作業。サンプリングの数が多いほど、精密なデジタルデータになる。
  • 量子化
    標本化された値を整数に変換する作業。この過程で元の信号に少しズレが生じ、これが量子化ノイズの原因となる。
  • 符号化
    量子化された値を2進数のデータに変換する作業。これにより、コンピュータがデータを扱えるようになる。

問題

「クイズをスタート」のボタンをクリックすると、5問出題します。さあチャレンジ!

標本化された値を整数に変換する作業を何と言いますか?
符号化とは、量子化された値をどの形式に変換する作業ですか?
アナログ信号とデジタル信号の違いは何ですか?
A/D変換における最初の手順は何ですか?
サンプリングの数が多いほど、どのようなデータが得られますか?
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編集者ひとこと

最近、「デジタル化」という言葉をよく聞きますよね。もともとの「デジタル化」の意味は、今回の試験問題で出されている「アナログのものをデジタルに変換する」ということ。これを、「デジタイゼーション」と呼びます。

それだけでは、何も世の中で大騒ぎするほどのこともないのですよね。本質は、この、デジタル化によってあたらな価値を生み出すことで、これを、「デジタイゼーション」と呼びます。そしてこれによる変革を「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼んだりします。

「ラ」が入っているかどうかで、そのインパクトは大きく違います。言葉の定義は覚えなくてもよいのですが、デジタル化という言葉を聞いたら、2つの段階があるということを思いだしてもらえればうれしいです。

「情報寺子屋」も、教科書をデジタル化した「デジタイゼーション」ですが、目指しているのは、もちろん後者の「デジタライゼーション」です!

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