1-1 人工知能の定義と種類

1.人工知能(AI)とは

解説

今日の授業では、「人工知能(AI)」の定義について学びます!AIという言葉は1956年のダートマス会議で登場しましたが、現在でも明確な定義がありません。その理由や、AIの分類、ロボットとの違い、そしてAIに対する人間の心理的な「AI効果」について、解説していきます!

人工知能の定義

なおや君、人工知能(AI)って言葉は知ってるかな?

馬鹿にしないでくださいよ!ChatGPTくらい使ってますよ。

ごめんごめん。じゃあ、人工知能という言葉はいつごろからあったと思う?

えっ?最近だよね。ChatGPTは2年くらい前だから、それより前であることは確かだろうけど・・

実は「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉は1956年ダートマス会議で、ジョン・マッカーシーという研究者が初めて使ったんだよ。

えっ!?AIってそんな昔からあったの!?てっきり最近の技術かと思ってた!

そう思うよね。でも面白いことに、「人工知能とは何か?」という明確な定義は今もないんだ。

え、そんなに長い間研究されてるのに、定義がないの?

そう。なぜなら、「知能」や「知性」そのものの定義がはっきりしていないから、研究者によってAIの解釈が違うんだ。

うーん、でも定義が無いんじゃあ、なんだってAIってことになってしまって、困っちゃうよね

そうだね。実際には、「人工知能は、推論認識学習判断など、人間と同じ知的な処理能力を持つ機械(情報処理システム)である」という点については、大多数の研究者が一致しているんだ。

目や耳で認識したことを、学んで、考えて、判断するか、人間より賢いかも・・

人工知能の定義

でも、どこまでの能力をAIに求めるかは、研究者によって意見が分かれるんだ。例えば、「AIには感情が必要なのか?」とか「価値観を持つべきなのか?」って話になると、いろんな考え方があるんだよ。

たしかに… AIに心が必要かどうかって、考えたことなかったなぁ…。AI自身はどう思っているのか聞いてみよう。

『人工知能とは何か?』: ChatGPT(GPT4oモデル)との対話

人工知能の大まかな分類

AIの定義がはっきりしないなら、せめて種類を分けて考えた方がいいよね?

うん、どんな種類があるの?

AIは動作の仕組みによって4つのレベルに分類できるんだ。レベル1からレベル4まで順番に見ていこう!

おお、レベルがあるのか!ゲームみたいで面白そう!

レベル1:単純な制御プログラム

一番シンプルなAIは、「単純な制御プログラム」だよ。

どんなもの?

例えば、エアコンの温度調整や洗濯機の水量調整がそうだね。あらかじめ決められたルールに従って動くだけの仕組みだよ。

なるほど。じゃあ、例えば「気温が30℃になったら冷房をつける」とかっていうルールを作って、それに従うだけってこと?

そうそう!これを制御工学やシステム工学って言って、AIとは少し違うけど、AIの発展に大きく関わる技術なんだ。

ふーん。でも、これって推論も学習もしていないから、ただのプログラムって感じがするなあ…

その通り!実は、こういうシンプルな制御はAIとは呼ばれないこともあるんだよ。でも、AIの基礎として重要なんだ。

レベル2:古典的な人工知能

次のレベルが「古典的な人工知能」だよ。例えば掃除ロボットや診断プログラムがこのレベルに入る。

へえ、ちょっとAIっぽくなってきた!

そうだね。このレベルでは、探索・推論知識データを使って、状況に応じて複雑な判断をするんだ。

例えば?

例えば、ロボット掃除機は部屋の形や障害物を考えながら、効率よく掃除するルートを決めるよね?

たしかに!壁にぶつかったら方向を変えるし、ゴミが多いところを重点的に掃除するよね!

その通り!でも、このレベルのAIは、人間のように学習して賢くなるわけじゃなくて、基本的には決められたルールに従って動いてるだけなんだ。

そっか…。まだ「考えてる」って感じじゃないんだね。

レベル3:機械学習を取り入れた人工知能

ここからAIらしくなってくるよ!レベル3は「機械学習を取り入れた人工知能」だ。

おっ、ついに「学習」するAIが登場か!

そう。例えば、検索エンジンや交通渋滞予測がこのレベルに当たるね。

え、検索エンジンってAIなの!?

そうだよ!検索エンジンは、たくさんの検索データを分析して、「このキーワードならこのページがよくクリックされている」というパターンを学習してるんだ。

なるほど…。だから自分がよく見るサイトが検索の上位に出てくるんだね!

レベル4:ディープラーニングを取り入れた人工知能

そして最後が「ディープラーニングを取り入れた人工知能」だよ。

ついに最強のAIか!?

例えば、画像認識や音声認識、自動翻訳なんかがこのレベルだね。

え、自動翻訳ってそんなにすごい技術なの!?

うん。ディープラーニングを使うと、AIが特徴量を自動で学習して、より精度の高い認識ができるんだ。

AIって、どんどん賢くなってるんだね…!

ChatGPTはどのレベル?

じゃあ最近のChatGPTって、レベルいくつなの?

いい質問だね!ChatGPTなどの生成AIレベル4のディープラーニングを使った人工知能に分類されるよ。

やっぱり最強レベルのAIなんだ!

そうだね。今の生成AIはまだ「強いAI」とはみられていないんだ?

じゃあ?「弱いAI」ってこと?

そうだね。今の生成AIは、特定のタスクに対してのみ人間並みの性能を達成する力を持っていて、そういうAIは「弱いAI」と呼ばれるんだ。 

じゃあ、どんなタスクでも、人間並みにこなせるようになると「強いAI」誕生ということになるの?

そうだね。「強いAI」は別名は、AGI(Artificial General Intelligence)ともいわれていて、人間と同様の汎用的な知能を持つ人工知能を示すんだ。

AGIかぁ。便利になりそうだけど、ちょっと怖いな。

ルールベース、機械学習

もう少しAIの分類について学ぼう。AIには大きく分けて「ルールベース」と「機械学習」の2つがある。

ルールベースって?

例えば、「もし○○なら△△する」という決まりをプログラムに書いて、それに従って動く仕組みだね。レベル1やレベル2のAIはこれが多いよ。

なるほど。決まったルールで動くだけなんだね。

一方、機械学習は「データを使って自動的に学ぶAI」だね。この機械学習の中に「ニューラルネットワーク」という仕組みがあって、その発展形が「ディープラーニング」なんだ。

えーっと… AIの中に機械学習があって、その中にニューラルネットワークがあって、さらにその中にディープラーニングがあるってこと?

そうそう!そして、そのディープラーニングの中に「生成AI(Generative AI)」があるんだ。

いよいよChatGPTだね

そう!ChatGPTみたいに新しい文章や画像を作り出すAIのことを「生成AI」って言うんだよ。

つまり、ChatGPTは「AI → 機械学習 → ニューラルネットワーク → ディープラーニング → 生成AI」っていう流れの一番先端にあるってことか!

その通り!技術の階層を知ると、AIの進化がよく分かるよね。

すごい!ChatGPTが最先端の技術ってことがよく分かった!

AI効果とは?

さて、ここまででAIがどんどん進化してきたことがわかったよね?

うん!昔のAIは決められたルール通りに動くだけだったけど、今は学習して賢くなるんだね!

その通り!でも、面白いことに、AIが何か新しいことを実現すると、「それは単なる自動化であって知能じゃない」って言う人が出てくるんだ。

え、なんで?せっかくすごい技術ができたのに…

これは「AI効果」と呼ばれる心理的な現象なんだ。

AI効果?

そう。例えば、昔は「チェスで人間に勝てるコンピュータができたら、それは知能だ!」って言われてたんだ。でも実際にチェスAIが登場して人間に勝ったら、「あれはただの計算じゃん」って言われるようになったんだよ。

なるほど… AIができることが増えると、どんどん「知能」って認められなくなるのか…

そう。時代とともに「知能」の基準がどんどん変わってるんだ。だから、「AIの貢献は過小評価されている」って主張する研究者もいるよ。

でも、もしAIが感情を持ったり、自分で目標を決めたりするようになったら、さすがにみんな「知能」って認めるんじゃない?

それはどうかな?その時には「感情を持つのはただのプログラムだ」って言う人が出てくるかもしれないね。

確かに…。AIがすごくなればなるほど、人間はそれを当たり前に思っちゃうのかも。

人工知能とロボットの違い

ところで、なおや君は「AI」と「ロボット」の違いって考えたことある?

うーん… AIが「頭脳」で、ロボットが「体」みたいな感じ?

そうだね!実際、AIは「考える力(知的な処理能力)」を持つ技術で、ロボットは「物理的に動く機械」なんだ。

じゃあ、ロボットがAIを搭載してることもあるってこと?

その通り!例えば、AIを搭載したロボット掃除機とか、自動運転車はロボットとAIの融合だね。

でも、AIが入ってないロボットもあるの?

あるよ!例えば、工場のロボットアームは、決められた動作を繰り返すだけだから、AIは必要ないんだ。

なるほど… じゃあ、「ロボット = AI」ではないってことか。

そう!AIはロボットの「脳」になれるけど、AIはロボットがなくても存在できる。例えば、将棋AIや画像認識AIは、物理的な体を持たないけど、AIとして機能してるよね。

そっか!ロボットがAIを使うこともあるけど、AIは必ずしもロボットじゃないんだね!

その通り!だから、AIの研究とロボットの研究は重なる部分もあるけど、まったく同じものではないんだ。

まとめ

今日はAIの基本について学んだけど、どうだった?

いやー、めっちゃ面白かった!AIって思ったより昔から研究されてたし、定義がないっていうのも意外だった!

そうだね!AIの世界はまだまだ発展中だから、これからどんな技術が生まれるか楽しみだね!

これからもAIについてもっと知りたい!

じゃあ次回は「機械学習」について詳しく学ぼうか!

おお!楽しみにしてます!

最新トピックス(2025年2月時点)

生成AIの次に来る技術として「フィジカルAI」の話題が盛り上がっています。 NVIDIAの ジェンスン・フアンCEOは1月に行われたCES2025での基調講演にて’ChatGPT moment for general robotics is just around the corner’すなわち、ロボティックスの分野でChatGPTのような画期的な瞬間がもうすぐ訪れると語っています。そして、これまで工場などのニッチな市場でのみ使われていたロボット技術が、一気に拡大し、巨大な産業が生まれると予想しています。なんだか夢がありますよね。

NVIDIAの物理AI開発プラットフォーム「Cosmos

まとめ

まとめ
  • 人工知能の定義
    人工知能(AI)は1956年のダートマス会議でジョン・マッカーシーによって提唱されたが、明確な定義は専門家の間でも統一されていない。。
  • 人工知能の分類
    人工知能は4つのレベル(単純な制御プログラム、古典的AI、機械学習AI、ディープラーニングAI)に分類され、それぞれ異なる特性を持つ。
  • AI効果
    人工知能が新しい技術を実現しても、その仕組みが理解されると「単なる自動化」とみなされ、知能として認識されにくくなる心理的現象をAI効果という。
  • 人工知能とロボットの違い
    人工知能はロボットの「脳」に相当し、ロボット研究とは異なる。AIは物理的な身体を必要とせず、将棋や囲碁のAIのように知的処理のみを扱うものもある。
  • 強いAI、弱いAI
    強いAIは、人間のように自律的に思考・理解・判断ができるAIで、感情や意識を持つ可能性がある。一方、弱いAIは特定のタスクを処理するAIで、現在のAI技術はほぼすべて弱いAIに分類される。

問題

「クイズをスタート」のボタンをクリックすると、5問出題します。さあチャレンジ!

次のうち、ディープラーニングを取り入れた人工知能の特徴として最も適切なものを1つ選べ。
人工知能の分類に関する説明として、不適切なものを1つ選べ。
AI効果についての説明として、最も適切なものを1つ選べ。
人工知能の定義に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
人工知能とロボットの研究に関する説明として、不適切なものを1つ選べ。
人工知能とは?
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問題 1

人工知能の定義に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 人工知能は1956年のダートマス会議で初めて学術的な研究分野として認められた。
  2. 「人工知能」という言葉はジョン・マッカーシーが1970年代に提唱したものである。
  3. 人工知能の定義は専門家の間で明確に統一されている。
  4. 人工知能の研究では感情や価値観は必須の要素とされている。

正解: 1
解説:

  • 選択肢 1: 正しい。1956年のダートマス会議でジョン・マッカーシーが「人工知能」という言葉を初めて使い、人工知能が学術的な研究分野として認められ始めた。
  • 選択肢 2: 誤り。「人工知能」という言葉は1956年にマッカーシーが提唱したものであり、1970年代ではない。
  • 選択肢 3: 誤り。人工知能の定義は研究者によって異なり、統一されたものは存在しない。
  • 選択肢 4: 誤り。感情や価値観が人工知能に必要かどうかについては研究者によって意見が分かれる。

シラバス区分: 第1章 人工知能とは


問題 2

人工知能の分類に関する説明として、不適切なものを1つ選べ。

  1. 単純な制御プログラムでは、すべての振る舞いがあらかじめ決められている。
  2. 古典的な人工知能は探索・推論を利用し、特定の分野で高い有用性を示している。
  3. 機械学習を取り入れた人工知能は、ディープラーニングの発展によりほとんど使われなくなった。
  4. ディープラーニングを取り入れた人工知能は、特徴量を自動的に学習することができる。

正解: 3
解説:

  • 選択肢 1: 正しい。単純な制御プログラムは事前に決められたルールに従って動作する。
  • 選択肢 2: 正しい。古典的な人工知能は知識データを活用し、診断プログラムなどで実用化されている。
  • 選択肢 3: 誤り。機械学習を取り入れた人工知能は、現在も広く活用されており、ディープラーニングの発展によって完全に置き換えられたわけではない。
  • 選択肢 4: 正しい。ディープラーニングは、特徴量を自動的に学習できる点が大きな特徴である。

シラバス区分: 第1章 人工知能とは


問題 3

AI効果についての説明として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. AI効果とは、人間が機械を知能と認識しやすくなる現象のことを指す。
  2. AIが何か新しいことを実現しても、その原理が分かると「それは知能ではない」と考えられることがある。
  3. AI効果により、人々は人工知能の進歩を過大評価する傾向がある。
  4. AI効果とは、人工知能の処理速度が向上することで得られる性能向上のことを指す。

正解: 2
解説:

  • 選択肢 1: 誤り。AI効果は、人間が機械の知能を過小評価する傾向を指す。
  • 選択肢 2: 正しい。AIが新しいことを達成しても、その仕組みが理解されると「単なる自動化」と考えられ、知能とはみなされなくなることがある。
  • 選択肢 3: 誤り。AI効果は人工知能の貢献を過小評価する要因とされている。
  • 選択肢 4: 誤り。AI効果は、処理速度の向上ではなく、人間の心理的な認識に関する現象である。

シラバス区分: 第1章 人工知能とは


問題 4

人工知能とロボットの研究に関する説明として、不適切なものを1つ選べ。

  1. 人工知能は、ロボットの脳に当たる部分に相当する。
  2. ロボットの研究者は、人工知能の研究を必ず行っている。
  3. 人工知能の研究では、物理的な身体が必要ない場合もある。
  4. 将棋や囲碁の人工知能は、ロボットの研究とは関係がない。

正解: 2
解説:

  • 選択肢 1: 正しい。人工知能はロボットの「脳」のような役割を果たす。
  • 選択肢 2: 誤り。ロボットの研究者は、必ずしも人工知能の研究を行っているわけではない。ロボットの「身体」に関する研究をしている場合も多い。
  • 選択肢 3: 正しい。将棋や囲碁のAIのように、物理的な身体を必要としない人工知能の研究も多く存在する。
  • 選択肢 4: 正しい。将棋や囲碁のAIは、物理的なロボットを必要とせず、主に知的処理能力に関する研究である。

シラバス区分: 第1章 人工知能とは


問題 5

次のうち、ディープラーニングを取り入れた人工知能の特徴として最も適切なものを1つ選べ。

  1. 事前に決められたルールに従い、振る舞いを変えることができない。
  2. 特徴量を自動的に学習するため、人間が特徴量を設計する必要が少ない。
  3. 少ないデータでも高い精度を発揮することが特徴である。
  4. 機械学習とは異なり、サンプルデータを用いずに学習を行うことができる。

正解: 2
解説:

  • 選択肢 1: 誤り。ディープラーニングを取り入れた人工知能は、入力データに応じて柔軟に振る舞いを変えることができる。
  • 選択肢 2: 正しい。ディープラーニングは、特徴量を自動的に学習する技術であり、これが大きな利点の一つである。
  • 選択肢 3: 誤り。ディープラーニングは大量のデータを必要とすることが多い。
  • 選択肢 4: 誤り。ディープラーニングは機械学習の一種であり、サンプルデータを用いて学習を行う。

シラバス区分: 第1章 人工知能とは

編集者ひとこと

「AIまなび館」第一回いかがでしたでしょうか?生成AIの日々の変化は激しいですね。25年に入ってからも、エージェントAIやDeep Researchなどのレポート作成等、すでにAGIといっても良いのでは?と思うこともあります。
このブログを読んでくれた人には、AIは脅威ではなく、チャンスととらえられるようになるよう、連絡を続けていきます。ぜひお付き合いください。

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