今日の授業では、情報の暗号化について学びます。インターネット上で情報を安全に送受信するための手段として、暗号化は非常に重要です。具体的には、共通鍵暗号と公開鍵暗号の2つの方式について理解を深めます。
黒板
授業
暗号化って何?
さて、今日は情報の暗号化について学ぼう。インターネットで情報を送るとき、第三者に読まれたくないよね。そのためには、情報を暗号化する必要があるんだ。
暗号化って、映画とかでよく見ますよね。スパイが使うやつですか?
まあ、スパイも使うかもしれないけど、日常生活でもよく使われているよ。例えば、パスワードやクレジットカード情報を送るときには、暗号化が行われているんだ。
なるほど、それで安全に情報が送れるんですね。
暗号の基本
暗号の基本的な例として、シーザー暗号を紹介するよ。これはアルファベットを数文字ずらして暗号化する方法だ。
シーザー暗号って、ローマのシーザーが使ってたやつですか?
その通り、歴史的にも古い暗号方法だよ。例えば、”COMPUTER”という単語のアルファベットをぞれぞれ2文字ずらすとどうなる?
2文字というと、”C”だったら”E”というよう変換するというですよね。えーと、”EQORWVGT”ですか?
正解!ここで、元の文である”COMPUTER”を「平文」、シーザー暗号で暗号化された”EQORWVGT”は「暗号文」と呼ぶよ。暗号で用いる鍵は「2文字ずらす」という情報なんだ。
なるほどね。平文をシーザー暗号の鍵を使って、暗号文に換えたんですね。
そう。そして、元に戻すことを「復号」というんだ。もとに戻す鍵は「文字2文字戻す」だよ。
暗号化というのは、情報を箱に入れて秘密の鍵をかけて閉じ込めるという感じですね。
その通り。”COMPUTER”という情報を箱に入れて、シーザー暗号の鍵を用いて閉じ込めたわけだ。その情報を見ることができるのは、鍵を知っている人ということになるね。
暗号というと何か難しい印象でしたが、少しイメージできてきました
共通鍵暗号の仕組み
では、実際に使われている暗号方式について説明しよう。まず、共通鍵暗号について説明するよ。これは、送り手と受け手が同じ鍵を使って暗号化と復号を行う方式だ。
なるほど。シーザー暗号の例で言えば、何文字ずらすかというのがその鍵ですね。
その通り。2文字ずらすというルールがわかったら、暗号はすぐ見破られてしまうから、鍵をいかに秘密にするかが重要だ。
なるほど。鍵が秘密というわけですね。でも、鍵はどうやって受け渡しをするんですか?
良いところに気がついたね。鍵の受け渡しは、安全な通信チャンネルを使って行われることが多い。ただ、その方法自体が安全でなければ、鍵が漏れるリスクがあるから、非常に注意が必要なんだ。
じゃあ、鍵を送るためにもう一つの鍵が必要になったりするんですか?秘密の鍵を入れた箱の鍵があってみたいな感じで?
その通り。それが共通鍵暗号の矛盾点なんだ。鍵を送るためにもう一つの鍵が必要になる可能性がある。だから、安全な方法で鍵を共有しなければならない。それができないと、共通鍵暗号は安全とは言えないんだ。
それは確かに大変そうですね。じゃあ、どうやって鍵を安全に共有するんですか?
実際には、直接会って鍵を渡す方法や、既に安全だと確認された通信路を使うなど、いくつかの方法があるんだ。ただ、それでもリスクはゼロではない。だからこそ、公開鍵暗号という別の方式が考えられたんだよ。
公開鍵暗号とは?
え、鍵を公開するってどういうことですか。そんな事したら、暗号化している意味が無いじゃないですか。
心配することはないよ。公開鍵方式というのは、暗号化には公開鍵を使い、復号には秘密鍵を使うんだ。公開鍵は誰にでも知られていても大丈夫な鍵で、秘密鍵は受け手だけが持っている鍵なんだ。
つまり、大切な情報を入れる箱に対して、誰でも「公開鍵」で鍵をかけられるけど、「秘密鍵」の鍵でしか開けられないということ?うーん、やっぱり誰でも鍵かけられるのであれば、誰でも開けることができちゃうんじゃないですか?
いい疑問だね。確かに、誰でも鍵をかけられると聞くと不安になるかもしれない。でも、この「公開鍵」でかけた鍵は、これとペアになっている「秘密鍵」でしか開けられないから、誰にでも開けられるわけではないんだ。
「公開鍵」と「秘密鍵」
2つのペアで1セットなんですね。
公開鍵と秘密鍵は数学的に関連していて、一方で暗号化したデータはもう一方の鍵でしか復号できないように設計されているんだ。
どういう仕組みで生成されるんですか?
鍵の生成には特定の数学的アルゴリズムが使われる。例えば、RSAアルゴリズムでは大きな素数を二つ選び、それらを掛け合わせる。その後、その掛け合わせた数に基づいた計算により、公開鍵と秘密鍵が生成される。
素数ってその数でしか割り切れないものですほね?素数を使うとどうして鍵ができるのですか?
大きな素数同士を掛け合わせた数は、その素数に分解するのが非常に難しいという数学的な性格を持つんだ。これが、RSAなどの公開鍵暗号が安全である理由の一つだ。
うーん、何かわかったようなわからないような・・・。
このあたりの数学的理論は、詳しく理解していなくても大丈夫。要するに素数の性質を利用して、逆算が非常に困難な鍵を作ると思えておいてね。
安心しました。素数を使うことで暗号の解読が困難になるということですね。
「公開鍵」の公開
鍵のペアができたら、公開鍵は公にしても問題ないから、インターネット上で公開することが多い。一方で、秘密鍵は絶対に他人に知られてはいけない。
公開鍵は公開しても大丈夫といっても、どうやって公開するんですか?
公開鍵を公開する方法はいくつかあるんだ。一つは、信頼された「公開鍵インフラストラクチャ(PKI)」を通じて公開する方法。これは、特定の認証機関が公開鍵の信頼性を保証するシステムだよ。
認証機関って何ですか?
認証機関(CA Certificate Authority)とは、公開鍵やデジタル証明書の発行、管理、配布を行う信頼された第三者機関のことだよ。この機関が公開鍵の信頼性を確認して、それを証明する「デジタル証明書」を発行するんだ。
信頼できる認証機関のお陰で、それで公開鍵が信頼できるものかどうかが確認できるわけですね。
その通り。もう一つの方法としては、直接メールや他の安全な通信手段で公開鍵を送ることもある。ただ、この場合は送り手と受け手が互いに信頼関係にある必要があるよ。
公開鍵が信頼できないとどうなるんですか?
公開鍵が信頼できない、つまり攻撃者によって偽造されたものであれば、その攻撃者は対応する秘密鍵を持っている可能性が高い。その場合、攻撃者は暗号化されたデータを復号化して内容を読んだり、改ざんしたりできるんだ。
それは大変ですね。信頼できる公開鍵を使用することの重要性がよくわかりました。
それは良かった。次回は「デジタル証明書」や「デジタル署名」について詳しく学ぶから、楽しみにしていてね。
了解です、次回も楽しみにしています!
まとめ
名言解説
Codes are a puzzle. A game,just like any other game. Alan Turing
アラン・チューリング(Alan Turing)は、1912年にイギリスで生まれ、1954年に亡くなりました。彼は数学者、論理学者、暗号解読者、そしてコンピュータ科学の先駆者として広く知られています。特に第二次世界大戦中に、ドイツの暗号「エニグマ」を解読したことで有名です。この功績により、多くの命が救われ、戦争が早く終わる一因となりました。また、彼は「チューリングマシン」という概念を提案し、現代のコンピュータ科学の基礎を築きました。
「暗号はパズルです。他のゲームと同じように、ゲームです」。この名言は映画「イミテーション・ゲーム」の中で、アラン・チューリングが語ったセリフです。
チューリングが「ゲーム」と形容することで、暗号解読のプロセスが持つ楽しさや興奮、挑戦的な側面を強調しています。この視点は、研究者や解読者が高度な問題に取り組む際のモチベーションを高め、より良い解決策を見つけるためには非常に重要です。一方で、この「ゲーム」が国家や国民の命、戦争の行方に直接影響を与える重大なものであることも事実です。このギャップが示すのは、科学や技術が持つ二面性です。それは「ゲーム」として楽しむことができる一方で、その結果が非常に重大な影響を持つ可能性があるということです。
重要な点は、科学や技術、そして「ゲーム」が持つ力を理解し、その影響を正確に把握することです。それが社会や歴史にどのような影響を与えるのかを考えながら、自分自身の学びや研究に取り組むことが重要です。このような深い洞察が、未来をより良くするための第一歩です。頑張ってください!
問題
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編集者ひとこと
公開鍵暗号方式は、公開鍵や秘密鍵といった馴染みのない用語が多く出てくるので、1度では理解できないかもしれません。できるだけわかりやすく解説してみましたので、繰り返し読んで理解してくださいね。ここを克服すれば、立派な情報通信のエンジニアです!
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