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22.ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザイン 2.コミュニケーションと情報デザイン

本日の授業では、「ユニバーサルデザイン」について学びます。「ユニバーサルデザイン」は全ての人が使いやすいという考え方で、その具体的な原則について一つ一つ理解していきましょう。また、皆さんの身近にも実はユニバーサルデザインの良い例がたくさん存在します。それを見つける力を身につけることも大切な学びになるでしょう。

黒板

ユニバーサルデザイン

授業

ユニバーサルデザインとは

さて、今日は「ユニバーサルデザイン」について学びましょう。なおや君、シャンプーボトルの側面にギザギザがついてるのを見つけたらしいね。

はい!そうです、シャワーを浴びてる時に気付いたんです。すごい発見だと思いました。

なるほど、それは素晴らしい発見だね。実はそのギザギザ、ユニバーサルデザインの一環なんだよ。

ユニバーサルデザインって何ですか?

ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターによるユニバーサルデザインの7原則に従って説明するよ。ちょっと情報量が多いけどいいかな?

はい。お願いします。

原則1:公平な利用(Equitable use)

ユニバーサルデザインとは、どんな人でも公平に使えるデザインを指すんだ。つまり、年齢や能力に関わらず、誰もが利用できるように作られているということさ。

なるほど、だから目を閉じていても、シャンプーとリンスを間違えないようにギザギザがついているんですね。

原則2: 利用における柔軟性(Flexibility in use)

「利用における柔軟性」とは、デザインが多様な個々のユーザーの能力や好みに適応できるべきだということだよ。例えば、左利きの人と右利きの人の両方が使いやすい道具や視覚障害者でも使えるスマートフォンの操作方法などだね。

ああ、それならわかる。自分の家のコンロのダイヤルが両側から回せるから、左利きのおばあちゃんも使いやすそうだって思ったことあるよ。

それがまさにユニバーサルデザインの原則2の例だね。自由度が高いからこそ、全ての人が公平に使えるわけさ。

なるほど、自由度が高いということあは、公平性でもあるという事なんですね。

原則3: 単純で直感的な利用(Simple and intuitive)

「直観的な利用」とは、使い方が簡単で自明であることをいうよ。つまり、製品やサービスが直感的に理解でき、説明書がなくても使えるぐらい簡単であるべきだということだよ。例えば、扉には「押す」か「引く」か、それが一目でわかるデザインが必要だね。

そうそう、ドアを押してダメなら引いてみなって感じだよねか。考えてみればむだな労力だね。

単純性の原則に従ってデザインされたドアは、表と裏で付いている部品が異なっていて、片方にはバーがついていて、もう片方には平らな板が設置されているんだ。こうすることで人は感覚的にバーがあれば引き、平らな板があれば押そうとするよね。

そうだね。バーがなければ引こうと思わないよね。

原則4: 認知できる情報(Perceptible information)

「認知できる情報」とは、必要な情報がすぐに分かることを示しているよ。これは、視覚、聴覚、触覚など、あらゆる感覚を通じて情報を提供することを意味するんだ。ピクトグラムを例にとると、例えば、トイレのマークが男性用か女性用かを明確に示すことですね。

なるほど、だからトイレのマークには男性や女性のシルエットが描かれているんだね。それなら視覚的に「どちらのトイレか」ってことがすぐにわかるね。

さらに、一部のトイレのマークには盲文も付けられていることがあるね。それは視覚障害のある人にとってはとても重要な情報提供手段なんだ。

なるほど、だから視覚障害のある人たちにも情報が伝わるように盲文が付けられているんだね。これなら、「どちらのトイレか」が全ての人に伝わる設計になっているね。

原則5: うっかりミスの許容(Tolerance for error)

この「うっかりミスの許容」とは、簡単なミスが危険につながらないことをいうよ。例えば、ボタンやスイッチの操作ミスが大きなトラブルに繋がらないようにするということだね。

あー、それって、例えば僕が間違えて電源ボタンを押した時に、データが全部消えたりしないってことですか?

その通りだよ。あるいは、自動車の操作ミスが直ちに事故につながるといったことがないような設計を意味するね。

なるほど、それって結構大事ですね。

原則6:少ない身体的な努力(Low physical effort )

「少ない身体的な努力」とは、誰もが利用できるように、身体的な負担やストレスを最小限に抑えることを指すよ。何か思いつくものあるかな?

いろいろありそうだけど、あえて言われると・・・。

波形の手すりを知っているかな?握りやすさを提供することでユーザーの身体への負担を軽減するよね。さらに、手すりは年齢や体力に関わらず、どのような人でも安全に階段を利用できるように握りやすく設計されているから、原則1にも該当するよね。

最近よく見かけます。いわれてみると、どこにでもユニバーサルデザインはあるんですね。

原則7: 接近や利用のためのサイズと空間(Size and space for approach and use)

「接近や利用のためのサイズと空間」とは利用者が製品やサービスを使うために必要な空間や大きさを確保するということだね。

なるほど、例えば椅子の座面の大きさとか、ドアの幅とかですか?

そうだね。また、身体の大きさや動き方が異なる人たちが利用できるよう、可能な限り広い範囲で対応できるように設計することも含まれるよ。

それなら、ユニバーサルデザインはみんなが使いやすい世界を作るための大切な考え方なんですね。

その通りだよ。それぞれの原則が単独で考えられることもあるけど、全てを組み合わせて考えることで、本当にみんなが使いやすいデザインが生まれるんだ。

ユニバーサルデザイン、すごく興味深いです。これからもっと詳しく学んでみたいです!

それは嬉しいね。どんな環境でも、ユニバーサルデザインの原則は役立つから、ぜひ深く学んでみてください。

まとめ

まとめ
  • ユニバーサルデザインの理念
    全ての人が公平に利用できる環境を目指し、個々の特性やニーズに対応する設計を行います。
  • 7原則
    ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターによるユニバーサルデザインの7原則は、「公平性」、「柔軟性」、「単純性」、「認知性」、「安全性」、「低負荷性」、「空間性」の7つ。
  • 利用における柔軟性
    使用状況に応じた変更可能性が必要。例えば、左右両利き用の道具は、利用者の利き手に対して自由度が高いと言えます。
  • 少ない身体的な努力
    身体への負担を減らす設計、例えば波形の手すりは握りやすさを提供し、負担を軽減します。
  • 公平な利用
    年齢や能力に関わらず、誰もが利用できるように作られているということ。例えば、シャンプーとリンスの色や形状の差異は、区別を容易にします。

名言解説

「あらゆるものをより普遍的に使用できるようにすることはできますが、そのためには細部に注意を払う必要があります。」-ロナルド・L・メイス。
“We can make anything more universally usable, but to do that, we must pay attention to details.” -Ronald L. Mace.

ロナルド・L・メイスは、ユニバーサルデザインの概念を開発し普及させた建築家であり、活動家です。彼は身体障害を持つ人々が日常生活で直面する困難から、デザインがすべての人に対応するべきであるという考え方を説いた人物です。

この名言は、ユニバーサルデザインの核心を捉えています。すべての人が利用できるようにするためには、細部への注視が必要であると言っています。これは波形の手すりやシャンプーとリンスの形状の違いなど、小さな変更が大きな違いを生むことを示しています。

彼の言葉から学ぶべきは、小さな部分の配慮が全体の使いやすさを生み出すということです。これは情報Ⅰの授業だけでなく、あらゆるデザインやプログラムの開発にも当てはまる考え方です。そして何よりも重要なのは、全ての人が使用できるものを作ることに対する情熱とコミットメントです。

高校生の皆さんにとって、ユニバーサルデザインはただのデザイン原則以上のものです。それは、社会全体がより公平でアクセシブルなものになるためのツールです。あなた方の独自の視点や考えを形にし、全ての人にとってより良い世界を創造するための、力強い歩みを期待しています。

問題

「クイズをスタート」のボタンをクリックすると、5問出題します。さあチャレンジ!

波形の階段の手すりは、どのユニバーサルデザインの原則を具現化したものと言えますか?
ユニバーサルデザインの原則の一つ、「利用における柔軟性」は何を意味しますか?
ユニバーサルデザインの目的は何ですか?
以下のうち、ユニバーサルデザインの具体的な事例は何ですか?
ユニバーサルデザインの原則「うっかりミスの許容」の具体的な例として最も適しているのは何ですか?
22.ユニバーサルデザイン
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編集者ひとこと

今回、ユニバーサルデザインの7つの原則を学習しました。「誰一人取り残さない」を目指すSDGsと多くの共通点がありますね。1985年に提唱されたロナルド・メイスの先見の明は素晴らしいものでした。情報Ⅰの教科書には7つの原則は紹介されていませんので、少し深く入り込みすぎたかもしれません。しかし、メイスの思想を理解するためには、これらの原則が欠かせません。詳細な暗記は必要ありませんが、全体像だけでも理解しておいてくださいね。

次回は、「ユーザインタフェース」について学びます。今回学んだユニバーサルデザインはUDと略されますが、次回のユーザインターフェースは略してUI,さらにUXなんて言葉も出てきますが、一体何でしょうね?お楽しみに。

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